田丸雅智さんの『オバペディア』を読みました。潮出版社が2019年に発行した本です。
この本には、18編のショートショート作品が収録されています。
この本を手にしたきっかけ
ショートショートでひらめく文章教室
田丸雅智さんの別の本を読み、ほかの作品が読みたいと感じたことがきっかけです。
先に読んだ本は、『ショートショートでひらめく文章教室』という本です。
書店で見かけて、かわいらしい表紙が目に留まり、気になりました。この本は、河出書房新社の「14歳の世渡り術」というシリーズの本です。
わたしは文章を書くことが苦手で、うまくなりたいとおもっているので、「文章教室」というタイトルにも惹かれました。
読んでみると、とてもわくわくする内容でした。
「言葉」と「言葉」の組み合わせで、気になる単語ができあがり、そこから発想が広がっていきます。
実際に、そのワークの中で生まれた田丸さんの作品も載っていて、面白かったです。
この本の中で、ほかの作品名も紹介されていて、特にタイトルが気になった『オバペディア』を読みたいと思いました。
特に好きな作品
収録されている18編の作品の中から、わたしが特に好きだなぁとかんじた作品です。
あまりネタバレしないように、ざっくりとした感想だけ。(それでも少し内容に触れているところもあるので、知りたくない方はご注意ください。)
バルーンケーキ
この本の一番最後に収録されています。設定がわくわくして面白かったし、最後の締めも素敵だなぁとかんじました。
十郎
名前の設定が面白すぎるし、オチもよかったです。
雪解けのカクテル
このバーの雰囲気が素敵でした。「不思議な雰囲気のバーのおはなし」というのは、どこかでみたことがあるような気もしますが、「雪解けのカクテル」という設定がとても素敵でいい雰囲気でした。
オバペディア
「公式のおばさん」という単語が面白かったです。オチはちょっと弱かったような気がしました。おばさんになるための試験のくだりが面白かったです。試験のくだりまでで、とても面白かったので、広告付きのおばさんなどのくだりは、少しくどくかんじました。
メリー
おわりはイマイチだったのですが、設定が最高に面白かったです。
あまり好きじゃなかった作品
自分のなかでランキングをつけるとしたら、下の方になる作品についても触れました。
星の申し子
光景が想像しにくくて、入り込めませんでした。変更前のタイトル「行列のできる惑星」のほうが、おもしろそうなタイトルだったなぁとかんじました。
赤ちゃんエクスプレス
前半までの設定はおもしろかったのですが、オチがあまり面白さをかんじませんでした。
あの日の花火
別作品の「白い犬」のVRとか、この作品の花火のARとか、わたしはこの設定があまり入り込めないんだろうなぁとかんじました。花火のARを実際に見ている登場人物に、はいりこむことができれば楽しめるんだろうけど、作中の一部の人が感じているような「味気ない」と感じる側なんだろうなぁと思いました。
白い犬
ラストのせつないような優しいような雰囲気は好きです。「あの日の花火」で感じたこととおなじで、VR系の設定だと、設定の必要さを感じることができなかったのだと思います。
全体を通しての感想など
好きな作品では書ききれませんでしたが、たくさんの面白さが詰まった本でした。
最初の「くじ物件」から、シュールな設定でクスっとさせられました。
「最終電車」とかけているであろう「採集電車」というタイトルには、なるほどなぁと思わせられました。
「新入社員」のラストでは、彼が畑違いの分野に転職してきた理由がわかってなるほどとかんじました。
先に、『ショートショートでひらめく文章教室』 を読んだからこそ、「こうやって考えれれているんだなぁ」という仕組みを想像できたのも、面白かったです。
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