小説『男ともだち』を読了しました。とても面白かったです。
主人公のイラストレーター葵と、久しぶりに再会した男ともだちハセオとのお話です。
この本を読んだ理由・・エッセイから人となりに魅力をかんじて
この本を読むきっかけになったのは、著者の別の本を読み、それがとても面白かったからです。『胃が合うふたり』という食に関するエッセイで、書店員の新井見枝香さんとふたりで書かれた本です。すごく面白かったです。食に関するエッセイなのですが、読んでみると、おふたりの素敵な人間性や考え方が見えてきて、すごく面白いと思いました。この本を読んで、千早さんの人となりがすごく好きだなぁと感じて、千早さんの書かれた作品も読みたいと思いました。この『男ともだち』は、新井見枝香さんによる「新井賞」を受賞した作品でもあります。まずその本を読むのがいいかなと思い、この本を選びました。
さすが、「新井賞」受賞作品だなと納得
読み終わってみて、さすが「新井賞」を受賞した作品だなと感じました。
『胃が合うふたり』を読んで感じた、新井見枝香さんのユニークで繊細な人となりと、『男ともだち』という作品の雰囲気が、合うなぁと感じて、選ばれるべくして選ばれた感じがしました。
著者
千早茜さん
1979年、北海道江別市生まれ。
登場人物
神名葵・・イラストレーター。29歳。自費出版の絵本が海外の賞を受賞したことをきっかけに、イラストレーターとして忙しく働いている。恋人の彰人と同棲。医者の不倫相手がいる。チョコレートが好き。
彰人・・葵の恋人。
真司・・医者。
ハセオ・・ハセオは苗字。長谷雄。職業はMR。出身は福岡。
堀之内・・ハセオに葵の連絡先を教えた。
岩佐・・ハセオと同期。
辻田美穂・・葵とバーで再開する。葵と大学の同期。結婚している。もらわれっ子で本当の兄弟はいないが、同じアパートに住む「あんちゃん」という兄のような存在がいた。
露月(つゆつき)さん・・「カウンターと二つのテーブル席だけの小さな店(文庫P.92)」の店主。大阪のSMクラブで女王の経験がある。美味しい中国茶をいれてくれる。外見の描写→「象牙製のペーパーナイフのような顎。目鼻立ちは濃く、宝塚の男役のように引き締まった顔をしているが、漂う雰囲気は妖艶という言葉がしっくりくる。(文庫P.91)」
アキラくん・・露月さんの店の唯一のバイト。ゲイ。外見の描写→「枝のように細い身体にぴちぴちのパンツと、乳首が透けそうなニットを着ている。坊主頭に片耳ピアス。昼間には専門学校でファッションの勉強をしている。(文庫P.92)」
舞台
京都、富山
好きなセリフや描写など、一部抜粋
「だって俺一人でも楽しいしな。本読んだり、株やったり、サッカーしたりさ。相手のことなんて全部知る必要あるか?」
文庫 P.50
「白じゃないよね」
・・
「雪の色。そんなに単純な色じゃない」
文庫 P.122
対して、恋愛小説は、多くの人が恋愛を経験しているぶんだけ、みな知った気でものを言いたくなる。自分が・・(中略)うっかり自身の貧しさを吐露してしまうことにもなりかねない。恋愛小説を評するとはつくづくおそろしいものだと思わされた。
文庫P.315村山由佳さんの解説より
【関連】この本を読んで、連想する作品など・・
イラストレーターが登場する漫画『今夜すきやきだよ』
『男ともだち』の主人公・葵はイラストレーターです。イラストレーターが登場する物語って好きです。わたしの本棚にある、イラストレーターが登場する漫画を思い出しました。『今夜すきやきだよ』という作品です。
『今夜すきやきだよ』は、「あいこ」と「ともこ」という女性ふたりがルームシェアをしている漫画です。「ともこ」の職業がイラストレーターです。そして「ともこ」の男ともだち「シンタ」も登場します。
わたしはヴィレッジヴァンガードで、この本を表紙買いしました。ブログを振り返ると、今年の2月か3月頃に買ったみたいです。
読んでみて、とても好きだったので、買ってよかったと思いました。
作者のあとがきも、すてきでした。
ひとつの作品を読み終わって、こうして別の作品を思い出して、その本を手に取る。それってなんだか素敵なことだなぁと感じます。
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