高瀬 隼子さんの『水たまりで息をする』を再読しました。2021年7月に集英社から発売された小説です。
はじめて読んだ際に、読了するのにかかった時間は、2時間40分ほどでした。あまり厚さのない本なので、集中すれば一気に読めます。今回、再読するときは、ちょこちょこ読みをしたので時間は図りませんでした。
登場人物や物語の構成に触れてみます。
登場人物
衣津実(いつみ)・・・事務の仕事をしている。田舎生まれ。
研志・・・「風呂には、入らないことにした」。営業の仕事をしている。東京育ち。
台風ちゃん・・・ 衣津実が子どもの時に水たまりから拾って、実家で飼っていた魚の名前。
義母・・・ 研志の母親。 研志たちの家から、電車で20分ほどの距離の場所に住んでいる。研志の会社から電話を受け、 研志のようすを知ることとなる。働いている。
衣津実の母・・・ 衣津実が産まれてから働いたことはない。
衣津実の父・・・交通事故で亡くなった。たくさんの新聞を取っている。
物語の構成
3つの章に分かれている。
- 風呂
- 雨(P31~)
- 川(P115~)
1.風呂
衣津実は、変化しないバスタオルを見て、夫がここ数日、お風呂に入っていないことに気づく。
夫は、水がカルキくさいと言って、お風呂に入ることをやめた。
彼がお風呂にはいっていないことは、だんだん見た目や匂いにも、わかるようになっていく。
2.雨
夫は、雨の水なら大丈夫なようだ。
お風呂に入らないかわりに、雨の日に、傘をささずに、びちゃびちゃに水を浴びる。
ここは東京。知らないふり、気づかないふりが上手な人たちの住む場所。
田舎とは違い、噂するご近所さんもいない。
3.川
田舎で暮らすことにしたふたり。
その結末は・・・。
この本の好きなところや、印象的な場面
物語の主軸の夫婦の姿
この物語のメインに描かれている夫婦の姿が好きです。
電話の後の独り言
誰が聞いているわけでもないだろうに、本当に相手がいるようにしゃべっている様子に、クスりとしました。
主人公と義母の関係性は、あまりよくありません。主人公が我慢しているもやもやが、描写からこちらにも伝わってきます。だから、たまに主人公が反撃しているとき(相手には聞こえていないときだけど)の描写は、なんだかすっきりした気持ちになれます。言えてよかったね、そうだよね、と。
衣津実の両親の会話(回想)
両親がしていた会話を聞いてしまった場面。母が「辛い」と相談し、父が「お前は大丈夫」と諭す場面。なんか、やだなーと感じたのです。
印象的な文
P113 そうして並べてみると、まるでなにも考えてないみたいだけれど、熟考して選んでないからといって、全てが間違いになるわけではない。無数に(…中略…)、ほんとうに思うの。
きれいな装丁
この本の装丁が好きです。色合いや、文字の配置が、きれいですてきだなあと思いました。カバーを外しても素敵なデザインです。ベースが真っ黒の中、白い細い線で、水が描かれています。
写真 コムラマイさん
装幀 高橋健二さん(テラエンジン)
この本を読もうとおもったきっかけ
読もうと思ったきっかけは、書籍系のお話をしている梨ちゃんねるさんのyoutubeを見たことでした。
3:30頃から、おはなしされています。芥川賞候補の作品をお話しされている動画です。
梨ちゃんねるさんの動画が面白くて、ほかの動画もたくさんみています。純文学作品や、文学雑誌が親しみやすくなりました。youtubeを通じて、手に取る本が増えたのは、新しい本との出会いの入り口が広がって、楽しいです。
関連リンク
集英社さんのページに、試し読みがあります。

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