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「お墓、どうしてます? キミコの巣ごもりぐるぐる日記」の感想。共感するところやクスっとさせるところがたくさんで面白い本でした

「お墓、どうしてます? キミコの巣ごもりぐるぐる日記」を読みました。

とても面白かったので、ブログに感想を書くことにします。

この本を手に取ったきっかけ

この本を手に取ったきっかけは、書店の新刊台で目にしたからです。

12月下旬に書店に行った際、お店の目立つところに、平積みされていました。

  • かわいらしいタッチのイラスト
  • 「お墓どうする?」という気になる話題
  • 気になっていたけど読んだことがない北王路公子さんの本
  • 北海道の本
  • 帯に、原田ひ香さん

手に取りやすいかわいらしい装丁と、気になるけどわからない「お墓どうする」という話題。

北王路さんの本を読んでみたいと以前から思っていたこともあって、購入することにしました。

この本はどんな本?

父親のお墓をについて悩みつづけていたら、墓を買うことをテーマに連載が決まった

北王路さんのお父様が急逝して1年半。お父様は、いわゆる「終活」というものを全くしていなかったようす。

あらゆる事務手続き、残された会社の荷物などの様々な後始末に翻弄され、お墓をどうするかまで手が回っていない状態。

そんな中、担当編集者に、「墓を買う」連載をしてみてはどうかと持ち掛けられてはじまりました。

コロナ禍での生活の記録

この本の連載が決まった時期が、2020年2月ころ。

当初の予定では、「各地の有名な墓地を回って、人にとっての墓の意味や死後の身の振り方を考える」というテーマでした。

しかし、外出ができない世の中になってしまい、各地を取材するということは不可能に。

コロナ禍の北海道で暮らす北王路さんの日常が描かれます。

「巣ごもりぐるぐる日記」というサブタイトルにあるように、巣ごもり生活の中、お墓について考えたり、日常の出来事に翻弄される北王路さんの日常がつづられています。

(この本を読んで、思い出した本があります。桜庭一樹さんの「東京ディストピア日記」です。

こちらの本も、コロナ禍での生活をつづった本。この本も、面白かったです。)

北王路さんの文章は、クスッとさせられる文章が多く、何度も笑ってしまいました。

この本の好きなところ、共感したところなど

思わず共感してしまうところがたくさんある

たくさんのことを選んで決断するのは、本当に疲れる。私はできるだけ疲れずに生きていたいのだ。

p10

お墓がなかなか決まらないことのひとつが、選択肢が多すぎることだと北王路さんは感じています。

私も「決断」をすることが苦手だし、体力がいることだと感じているので、この文章に共感しました。

北海道の話題が楽しい

私は北海道に住んでいるので、北海道の話題がとても楽しく感じます。

「全国ニュースでこれが流れて、道外の人は『ウポポイってなんだろう』と思われないだろうか。私なら思う‥‥‥」

p17

北海道の知事が会見をするようすをテレビで見て、こんな心配をしている北王路さん。同じようすをテレビで見てましたが、私はこんなこと考えつきませんでした。着眼点が面白いなぁと感じました。そしてウポポイのキャラクター「トゥレッポん」が知事に似ていると書かれてあり、検索してしまいました。

未来人の観察の記録

7月ごろの日記には、ネット上に現れた未来人のことを記録しています。(53ページ)

未来人の末路も、そのことを淡々と記録されているようすも、なんだかシュールで面白かったです。

猫の登場

保護猫を飼うかどうか・・という話題がでてきます。

「飼うと決まったわけではないけれど」という前置きが何度も登場しながらお話が進んでいくようすが、面白かったです。

札幌の市営霊園事情

札幌には、市営霊園があり、不定期に募集がある。(抽選)ということをこの本で知りました。

当初の予定とはまったく違うかたちで進んでいってしまった連載ですが、お墓問題も少しずつ進みます。

やはりまで自分の中で、「死んだ父」という存在の収まりどころが見つからないのだろう。

p86

クスッとさせる面白い文章が多い北王路さんの本ですが、そんな中で、すこしまじめなこの文章が心に残りました。

もやもやする出来事も、文章になるとエネルギーになる

北王路さんの日常に起こる出来事には、「これは・・もやっとするよなー!」「わかる・・言えないのも、わかる・・!」という気持ちになることが色々あります。

たとえば、解体掃除にだしたストーブ。別途修理や部品が必要になれば、連絡をいれますと言われていたのに、連絡なしに新しい部品をつかった修理が行われて、しっかり請求されてしまう出来事とか、お隣の家の室外機がすごくうるさくて、伝えたのに対処してもらえていない状況とか。

強く伝えることができれば、もっとすっきりするだろうに、でもなんか、言えない・・。強く言えない小さな声はスルーされている状況に悲しみを感じながら、でも北王路さんの書く文章になることで、ひとつのエネルギーみたいなものになってるなぁと感じました。

自分や自分の周りでも、もやっとする不条理な出来事ってありますが、そんな出来事も作家さんの手にかかればちょっと笑える文章のネタになるんだろうなぁと想像してしまいます。

自分だけじゃないんだなって思うと、安心したりもします。根本的な解決になるわけではないので、それがいいことなのか悪いことなのかはさておき・・。読むことで、気持ちはちょっとラクになるかなぁ、と。

今後は、他の本も読みたい!

北王路さんの他の著書も、これから読んでみたいと思いました。

この本を読んでよかったです。

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