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読了後、しばらくこの本に酔っぱらう【正欲/朝井リョウ著】を読んだ感想

こんにちは。今日は、読み終わった本の感想などをお話します。

朝井リョウさんの『正欲(せいよく)』という小説を読み終わりました。出版社は、新潮社です。

この小説は、朝井リョウさんの作家生活10周年記念として書き下ろされた長編小説です。

青い表紙がとても印象的です。

わたしは、朝井リョウさんの作品は、何度も読んだことがありますが、この『正欲』という小説がどんな内容か、全く知らないまま読みました。

とても面白い小説で、たいへん興味深く読むことができました。

読んでよかったなぁと思いました。

読了した後も、しばらくこの本の余韻が続いていて、この本に酔っぱらったような気持ちになりました。

今年読んだ小説の中で、今一番印象にのこる小説が、この小説です。

あまりネタバレなどはしないように感想をお話しようと思いますが、一部、本文の引用などもあるので、わたしのように、まっさらな状態で読みたいなぁと思っている人などはここでストップしてください。

冒頭

この小説の冒頭の数ページは、ちょっと輪郭がつかめない文章になっていて、小難しい印象を受けて、最初ちょっとだけ読むのにハードルがありました。

もし、わたしと同じようにハードルを感じる人は、ほんの数ページなので、ここは我慢して読み進めてみてください。

冒頭の文章が、今後どういう意味を持っているのか、バラバラにみえる登場人物がどのように接点をもっていくのか、ワクワクしながら読み進めることができると思います。

印象的な文

冒頭の文章の中にある一文に、わたしは強いひっかかりを感じました。

冒頭に、このような一文があります。

多様性という言葉が生んだものの一つに、おめでたさ、があるとおもいます。

わたしは、この文章に共感しました。

理由はうまく説明できないのですが、そうだなあと感じました。

なんとなく感じている違和感を、この文章が上手に表現してくれているなぁと感じました。

そして、このような、うまく説明できない気持ちや、素通りしてしまっているちょっとした違和感などを、素通りすることなく、きちんと向き合ってスポットライトをあてて、言葉をつかって作品をつくって伝えてくれる小説家は、あらためて本当にすごいなあと感じました。

平成の終わり、令和の始まり

この小説の中の時代は、平成の終わり、令和のはじまりあたりが舞台になっています。

現代が舞台になっている小説は、現代社会のキーワードを小説に落とし込んでいて、すごく面白いなと感じました。

小説というフィクション、つくりばなしですが、そこに描かれていることは、現実にある実際の問題が描かれていて、フィクションを読んでいるけれど、まるでノンフィクションを読んでいるような気持ちになりました。

今の時代だからこそ書ける小説だなと感じましたし、この小説を、まさに今、旬の今読むことができてよかったなぁと思っています。

先日読んだ小説でも、同じようなことを感じたのですが、『推し、燃ゆ』という小説も、今の時代の小説だなと感じて、旬の今読むことができてよかったなと思った小説です。

朝井リョウさんの作品

朝井リョウさんの作品は、いろいろ読んだことがあるのですが、印象に残っているのは、初期の作品の、『桐島、部活辞めるってよ』『チア男子!!』が印象に残っています。

読んだのは結構前なので、記憶違いなどもあるかもしれないのですが、文体が印象的だなと思いました。

大学生だからこそ書ける文だなと感じました。

本当に若者が使うような言葉で書かれているなと感じて、だからこそ、小説の世界にはいりやすいなと思いました。

その小説も、やっぱり当時の朝井リョウさんだからこそ書けた小説だと思うし、今回の小説も、今の朝井さんだからこそ書けた小説なんだなと思って、その時代、その時代に書けるものが進化している朝井さんはすごい小説家だなと感じました。

巻末には、参考文献の記載もあって、こちらの参考文献も読んでみたいなぁと思いました。

おわりに

つたない感想ではありますが、わたしはこの小説を読むことができて本当に良かったなぁと思います。

もし興味のある方はぜひ読んでみてください。

読んだ小説の感想をおはなしするのは難しいなあと感じているのですが、また機会があったら挑戦してみたいなと思います。

(追記)本屋大賞ノミネート

2022年の本屋大賞ノミネート作品となりました。大賞発表は4月です。

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